信長 (新潮文庫)



信長 (新潮文庫)
信長 (新潮文庫)

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たまたま題材が信長であったにすぎない

特筆すべきは、歴史ものとしての評価以前に、文学として成功している点。内容は史的研究でもなく空想的ロマン追及でもない、説得力のある論説で占められているが、天才にこれだけ迫り得たのは、ひとえに文芸評論活動を積み重ねてきた著者の力量のなせる業。著者の、道端の石ころに何を読み取るか?という衒いのない姿勢と優れた考察、そこに知性のあり方、心を豊かにするものを考えさせられた。今作品はたまたま題材が信長であったにすぎない。信長公記引用に現代語訳がないなど少々読みにくい箇所もあるが、それを補って余りある星5つ。
影響力ありました

英雄史観が嫌いな人には噴飯モノに違いない一冊。信長の内なるロマンを捉えようとした評伝です。漠たる印象ではありますが、この本以降の信長小説は大なり小なり影響を受けたような感じがします。池宮彰一郎氏の『本能寺』なんてモロに、という感じでしたね。ここからの生き写しのような文章もありましたし…。信長以外の武将を過小評価しているという印象も特にありませんでしたよ?上杉謙信の人間像なんて美しい。
一時信長本にハマったものですが、いろいろ読み漁れば漁るほど、「夢」のように遠のく感じでした。信長を追う現代日本人には、「かつて存在した『征服されざる日本』」の夢があるようにも思います。秋山氏はその「夢」を鮮やかに捉えてらっしゃる。美しく書かれたロマンチックな本で、私は大好きです。
ある意味で危険な評論

素晴らしい本であることは確かだろうが、その書きぶりの何と気障で鼻持ちならぬことだろうか。しかも殆どが、文献を引用してそれに少々批評めいたことを書いたいるだけのこと。だた、周囲から理解されない人間がこれを読んで己も信長的な能力を持っているからそうなのだとでも考えたら恐ろしいことだ。
秋山駿と信長

愛してやまない男、秋山駿。

彼は石ころの精神を獲得した

日本で稀有の評論家。

その男が書く「信長」

ならば結構ではないか。
信長という精神との格闘の記録です。

信長という巨大な精神との格闘記です。信長について書かれた本は数多くありますが、信長という精神に、肉薄しようとした作品はこの本と、辻邦生さんの「安土往還記」ぐらいでしょう。一見、信長を美化しているようにも見えますが、真に独創的な精神に触れた時の感動が、そのまま表現されている、というべきでしょう。いくら言葉を重ねても足りず、逆に、月並みな引用を重ねてしまう。著者の気持ちが良く伝わります。



新潮社
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